シータージャパンの仲間の皆さま(会員とまだ会員にはなっていらっしゃらない方々)へ
異文化コミュニケーション学会が本部が米国にあったSociety for Intercultural Education Training and Research International(SIETAR International)の日本支部として1985 年に活動を始めてから40年が
たち、今年は40周年記念を迎えます。SIETAR Internationalは1998年に日本の麗澤大学で開催された国際年次大会後はSIETAR USA、SIETAR Europa、SIETAR Japanなど、各地域で独立した活動を
行うようになりましたが、現在も国際ネットワークで繋がっています。シーターネットワークは、
教育、ビジネス、医療、政府、国際援助、紛争解決、カウンセリング、アートなど、職業分野を
問わず、異文化コミュニケーションの研究、実践に携わっている会員が、世代、社会的地位、障害、LGBTQ+などの異なる背景を超え、互いに研鑽し合い、共に学びを楽しむ場を提供し、多様化の
進むグローバル社会における “peace-making efforts” (共存共栄)に貢献することを目標として
きました。
SIETAR Japanもこの目標を共有してきました。2023年4月に会長に就任した際に引き継いだ資料箱から、シーターニュースレター創刊号(1989)を発見しましたが、「シーター活動の質的向上の
一つ」の目標として青山学院大学名誉教授、林吉郎先生が3代目の会長として次のように書かれて
います。
「シーターが会員にとって、異文化コミュニケーションの理解・研究の上で有益な交換の場となり、心のよりどころになるような集まりになることです。」
国際経営学を専門とされ、ビジネスコンサルティングでもご著名な林先生がなぜ、学会の 目標の
一つに「こころのよりどころ」という表現を使われたのかを改めて考えてみました。私見ではあり
ますが、シーターが異文化コミュニケーションの専門家が実際に「異なるものとの出会いを活かし、共存共栄を図る」実践の道場として機能する必要性を唱えられたのではないかと思います。
SIETARの会員が、研究者、実践家と2種に分けられることもありますが、本来、誰もがよりよい
実践に繋げるための研究をし、誰もが自分が研究してきたことを実践に活かすという点では誰もが
同時に研究者であり、実践家であり、学際領域、職種を超えて互いに学び合うことは非常に有益だと思います。また、シーターが多くの企業が真剣に取り組み始めた DEIB(Diversity, Equity, Inclusion and Belonging多様性、公正性、包括性、所属)を体現する「いこいの場」の模範となり、「誰一人取り残さない」という世界のリーダーたちが採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも貢献できるよう、皆様の今までのご協力に感謝すると共にこれからもどうぞよろしくお願い致し
ます。真のプロフェッショナルとして活動されている皆様に心からの敬意をもっております。
思えば、私がまだ異文化コーチとして駆け出しだった頃、米国でSIETAR International会員になり、ワシントンDC支部の活動に参加しましたが、その時も日本のシーターに入ってからも、たくさんの先生方が私の国籍、地位、年齢等に関わらず私を仲間として受け入れて下さり、たくさんのことを
教えて下さいました。SIETARの会員の皆さんとの交流、研修会を通して学んだことはなによりも
貴重で、今の自分があるのはSIETARのおかげと心から感謝しています。皆様のお陰でSIETARの活動はまさに私にとって研鑽の場であり、いこいの場となっています。会員の皆様そして歴代の運営委員会の皆様に心からお礼を申し上げます。
今、世界では紛争が絶えず、環境問題、経済問題など、あらゆる問題が山積しています。
この「荒波」の中、SIETARIANスピリットを抱く我々の力をより多くの人に伝え、日本から国際
社会にも働きかけていけるよう、今後も皆様と共にシーターが建設的で有益な学びの場と
「いこいの場」として発展できるよう、努力していきたいと思っております。どうぞこれからも同じ目標を共有する仲間としてシーターの活動に奮ってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。
2021/4 – 2023/3
2017/4 – 2021/3
2013/4 – 2017/3
浅井亜紀子